唇が、覚えてるから


歯を食いしばった途端、涙が零れた。

必死に闘っている祐樹の顔に目を向ける。


突然の平和を奪われて。

体中傷だらけになって、その上にメスを入れられて。

痛い思い、沢山して。

一ヶ月間もチューブや管に縛られて。

そんな中、自分のことよりお母さんを想って、ずっと励まし続けていた。


私の支えにもなってくれた。

大切なこと、いっぱいいっぱい、教えてくれた。


そんな祐樹のそばに、最後にいる人。

それは私でありたい。

今度は、私が祐樹の最後を見届けたいんだ。


この運命は変えられない。

もう、わかっているから。


だったら……私は…それを受け入れるしかないの。

目を逸らさないで。

真正面から。

最後の祐樹の姿、しっかり覚えておきたいから。