唇が、覚えてるから


「べつに、琴羽とつき合うつもりもないし」

「……」


キスが告白の返事だなんて。

バカみたい、私。


私が祐樹を好きだと知って、じゃあしちゃえばいいって……そんな単純な想いでキスしたの?

………そんなのって……っ。


言葉が出ない代わりに、冷たいものが頬を伝う。


「だから、もう会わない」


私を横目で見た祐樹は、そんな私を見ていたくもない様にすぐに視線を外した。



……医者を目指してすぐに諦めたように。

祐樹はその時だけの感情で突っ走る人なの?

私のことだって、そうだったの?


「今までの暇つぶし、ありがと」


……祐樹は、残酷だよ。


「最低───ッ…」


これ以上祐樹の言葉を聞いたら、もっとひどい言葉を投げてしまいそうで、私はたまらず駆け出していた───。