唇が、覚えてるから


「……」


なに、それ。

世界がモノクロになって、時間が止まる。


「意味……わかんない」


そう言うのがやっとだった。


嘘だよね……?

じっと祐樹の目を見つめる。


「言葉の通りだけど」


冷めた言葉を吐き出す祐樹は、上から視線を投げた。

冷たく流した瞳が私にぶつかって、心臓がドクンと音を立てた。


本気で言ってるの…?

昨日、あんなに熱いキスと、温もりをくれたのに……?


私は……夢を見ていたの……?


信じられない想いの中、震える唇でなんとか声を絞り出す。


「……じゃあ……どうして、キス…したの…」


祐樹にとって、なんでもないことでも。

女の子には……私にとっては、すごく大切なものだったのに。


「一回キスしたからって、勘違いすんなよ」


私には……すごく特別なことだったのに。


「あのキスに、意味なんてない」


祐樹がそれを汚さないで……っ。


悔しいとか、悲しいとか、そんな感情の前に走るのは。

“信じられない”

キスを否定されたことが、たまらなく。