唇が、覚えてるから


あれ……?

なんだかこの場の空気が変わった気がした。


祐樹は医学部コースにいるんだろうし……。

知っていて当然かもしれない。

でももう、医大進学をあきらめたって言うし。

……そのことが、何か関係あるのかな。


女の子同士だって色々あるし、男の子の世界にも、もちろんあると思う。

派閥とか、そういうのも。


けれど。


「希美ちゃん、祐樹の知り合い?」


そう聞いた、哲平君の"祐樹"という呼び声に、どこか親しげなニュアンスを感じずにはいられなかった。

……哲平君は、祐樹と友達なの?


「知り合いって言うか……琴羽が、ね?」


なぜかそこで私に振る希美。

目配せして、続きは頼むね、的な。


……はっ!?

言い逃げ!?