唇が、覚えてるから


「はははっ。いーっていーって。それよりどうかした?さっきから浮かない顔してるけど」

「……ごめんね、空気読めなくて。実は合コンって苦手なの……」


これは本当のこと。

今までだって、どうしても彼氏が欲しいわけじゃなかったし、誘われてやっと行くのがパターンだった。


「マジで?俺もなんだ。今日だって人数合わせだし」


海翔君は少し目を輝かせると


「なんか気が合うね。じゃあ合コン苦手同士で仲良くしようよ」


嬉しそうに言った。


……せっかくだから、楽しもうかな。

海翔君はチワワみたいな大きな黒目が印象的で、笑顔が柔らかくて癒やし系のイケメン。

エリートなんだろうけど、変に背伸びしたりもせず、ナチュラルなところに好感が持てた。