「と、棘刺さっちゃいますよ?」

「別に大丈夫………。ていうか、人の心配より自分の心配したら?」

愛希君が、ニッコリと微笑んだ。

………自分の…何を心配するの……?

「………………?」

「ふーん……。分かってないか…、まぁ、でも…関係ない……。覚悟出来てるよね?」

「なん…」

私が口を開いたと同時に私は愛希君に胸ぐらを掴まれる。

「……僕との約束忘れたよね?……だから、お仕置きしないと…。そのことで、覚悟出来てるよね?……って意味だよ」

耳元で愛希君に囁かれてから、耳元に唇を当ててから耳を噛まれる。

「ぃっ……─────」

ビリッとくる痛みにギュッと、目を瞑った。

「……もっと痛がってよ」

愛希君は私の耳から、首筋に唇を移動させて、牙をたてた。

「くっ……────」

肌に牙が当たる感触が怖い…。

注射されるときの恐怖とは何かが違う。

怖いのに……、快感が私を襲う。

そんな感覚は、今まで味わったことがなくて……。

だから、怖くて…。何か悪いことを知ってしまいそうで…。

不思議な恐怖が…、私を襲うんだ……。

「ていうか…、この傷とここの傷……。藍と嶺美が作ったんだよね?」

首筋、腕、を愛希君が触った。

「……………、はぃ………」

愛希君は、また目を一瞬光らせた。

「優みたいな女の子を…、バカな無防備女、って言うんだろうね」

「……………………」

「首筋、腕……。次は、指だね………」

愛希君は、私の右手をとってから。愛希君は口の中に私の指をいれて、思い切り噛みついた。

「…ぃた……っ────」

指から流れてくる血の色が、ドレスと変わらない鮮やかな赤色だった。

私の血がポタポタと、少しの量が草原に垂れる。

「………んっ────。……泣いても意味ないからね?悪いのは優なんだから………」

指を、今まで以上に強く噛まれる。私の、すすり泣きが花農園に響き渡った。

「優の指……、噛みちぎっちゃいそう……。もし噛みちぎったらごめんね……」

「…ふぇ……っ────」

それから何分間か愛希君に、私は血を飲まれていた。

「……美味しかった……」

愛希君は、口元から血を垂らしていた。

く、クラクラする……。

「………………ん」

愛希君の周りが、グルグル回ってる……。

「優……?」

私の様子がおかしいと思ったのか、愛希君は、私の肩を優しく掴んで顔を覗き込んだ。


「……な…んか……クラクラ……する……」

「大丈夫……?」

「……は…ぃ……」

愛希君が、安心して私の肩から手を離したとき、私の体が後ろに倒れて。

一瞬、愛希君が私の腕を引っ張るところが最後に見えた。

でも…そのまま、私は意識を失った…。