インストール・ハニー

 笑いながら言ったけど、楓の表情はまだ強ばっていた。聞いてなかったけど、楓って泳げるのかしら……。運動はある程度できるって言ってたし、大丈夫か。

 遠くに小さい島が見える。あそこまで泳いで行きたい。海に仰向けに浮かべば、空を飛んでいるみたい。

「佐山さん達も呼べば良かったよね」

「そうだね! 来年呼ぼうよ」

「受験だけど、息抜きしたい」

 仕事に疲れたOLのような会話。それを見て楓が笑っている。

「楓くんもね、来年もよろしく!」

「一海も来年は彼氏が出来たらいいな」

 地雷踏んだか。一海の顔は能面みたいになった。

「うるさいわー! このクソカップル!」

「わーやめてよ!」

 バッシャバシャと水をかけられた。一海の渾身の水かけ。

「あたしも王子様、見つけるんだー! なにやってるんだあたしの王子様は。お殿様でもいい」

「なんでお殿様……」

 王子だよ、って現れた人が隣に居るんだけどね。秘密だけど。内緒だけど。

「秋になっても外でなんかやろうか」

「やろうやろう!」

「海も良いけど山も良いね」

 山でバーベキューも良いじゃんと思った。秋だったら紅葉を見ながらですね。焼き芋も良いですね。想像するだけでニヤニヤする。