「大事な人って思ってくれてありがとう」
にっこり笑った顔が、少しだけ悲しそうに見えたのは、月明かりのせいだろうか。楓は、あたしの頭を手でポンポンとした。ドキドキと安心感が、頭のてっぺんからあたしを包む。
バイトの帰り、いつも楓を戻す空き地に差し掛かった。楓が足を止める。いつものことだっから、バッグからスマホを取り出す。もう手慣れた作業だ。こうしなきゃ家に帰れなし、楓も自分の部屋に戻れないことは知ってる。スマホを握る手に力が入った。汗ばんでいるのは暑さのせいか。
「あたし、できればずっと楓と……こうしていたいって思ってる」
本当にそう思ってる。楓はどうか分からないけど。
「……一緒に、居られたらいいな」
どっちつかずの返事をされて、あたしはまたなんて言ったらいいか分からなくなった。楓こそどうしたいのよ……。
「じゃあ、帰るよ」
空き地の砂利が足の下で音を立てた。あたしの部屋じゃなくて、ここの空き地で楓を帰し、部屋で夏休みの課題をやる。そういう日が続いている。楓に紅茶を煎れてあげていないし、美味しいクッキーも出してない。夏休み前は学校があったから、夜一緒に居られたけれど。なんて不自由なんだ。
「スマホ、壊しちゃおうかな」
「青葉」
「だって、そうすれば楓は帰れないじゃん。ここに居られるし」
「それは……だめだよ」
だめに決まってる。分かってるよそんなの。楓の後ろには管理システムが付いてる。そんなこと出来ないんだろう。
「……」
あたし、だだっ子みたいだ。
にっこり笑った顔が、少しだけ悲しそうに見えたのは、月明かりのせいだろうか。楓は、あたしの頭を手でポンポンとした。ドキドキと安心感が、頭のてっぺんからあたしを包む。
バイトの帰り、いつも楓を戻す空き地に差し掛かった。楓が足を止める。いつものことだっから、バッグからスマホを取り出す。もう手慣れた作業だ。こうしなきゃ家に帰れなし、楓も自分の部屋に戻れないことは知ってる。スマホを握る手に力が入った。汗ばんでいるのは暑さのせいか。
「あたし、できればずっと楓と……こうしていたいって思ってる」
本当にそう思ってる。楓はどうか分からないけど。
「……一緒に、居られたらいいな」
どっちつかずの返事をされて、あたしはまたなんて言ったらいいか分からなくなった。楓こそどうしたいのよ……。
「じゃあ、帰るよ」
空き地の砂利が足の下で音を立てた。あたしの部屋じゃなくて、ここの空き地で楓を帰し、部屋で夏休みの課題をやる。そういう日が続いている。楓に紅茶を煎れてあげていないし、美味しいクッキーも出してない。夏休み前は学校があったから、夜一緒に居られたけれど。なんて不自由なんだ。
「スマホ、壊しちゃおうかな」
「青葉」
「だって、そうすれば楓は帰れないじゃん。ここに居られるし」
「それは……だめだよ」
だめに決まってる。分かってるよそんなの。楓の後ろには管理システムが付いてる。そんなこと出来ないんだろう。
「……」
あたし、だだっ子みたいだ。



