インストール・ハニー

 最初はそりゃ、びっくりしたけれど。いまは当たり前になってるっていうか、居ないと困るし、なんていうか、このまま行ければ良いなって思ってたり……その。

「俺のこと」

 上を向いていた顔をあたしに向け、じっと見てきた。楓の瞳が月の明かりを吸い込んでいる。あたしは動けなくなった。

「俺のこと、どう思ってる?」

「ど……」

 どう思ってる? どういうこと。どういうこっちゃ。なんて答えたら良いんだろう。世の女子はこんな時になって答えるの? 女子力低空飛行のあたしには分からない。

「どうって……どう……」

 眉間に皺を寄せてしまった。

「楽しいか?」

「楽しいよ」

 楽しいかどうかを聞きたいの? 楽しいに決まってるし、それじゃなきゃ一緒に居ないし。毎日一緒に居るんだよ? どうって、そりゃあ……。

「俺とどうしたい?」

「どうしたい……って」

 青白い頬の楓は、意味の分からないことを言う。分からないけど、でも、分かってる。分かってるんだ。あたしは、楓を。

「だ……大事な人だって、思ってるよ。楓のこと」

「大事な人」

「それってどういうこと?」

「だーから! 言わせないでよ」

 じっと見つめられて、足に根が張ったようだ。なんでそんなに見つめるの。分かってるから、惹かれてるって分かってる。

 だから、あたしは楓を。