***
**
*
仕組みなど分からない。楓はここを通って、通って? なんて言えば良いのか分からないけど、ここから出てくる。ここがドアみたいになって。右手に持ったスマートフォンを見る。
いちいち、あっちの部屋に戻らないとだめのだろうか。そう思うようになっていた。ここに居ちゃだめなのか。あたしと、一緒に居られないんだろうか。
サンライトでのバイト。お客様をご案内する楓の背中を遠くから見ながら、カップにアイスティーを作る。楓にじゃなくてオーダー入ったから。
「またお越し下さいませ」
一海が玄関からフロントへ戻ってきた。
「来週のバーベキュー、楓くんも来られるんでしょ?」
あたしはアイスティーを運んで戻って来て、そこへ一海が小さく耳打ちする。店内にお客様が居る時に、あまり無駄話はできないから。
「うん、大丈夫。話してあるから。楽しみにしてるって」
「良かったぁ。夏休みシフトの最後の日だからね。打ち上げだよ」
宿泊客の夕食の時間が近付いてくると、店内が慌ただしくなる。西日が当たる西洋風の建物は、それはそれは綺麗に見える。坂の途中にあるサンライト。絵葉書にしたいくらいなんだ。
それを眺めることはできないけど、一生懸命バイトに勤しむ3人が内部に居る。



