インストール・ハニー

「あ、来週みんなで花火したりバーベキューしたりしようって。ペンションお休みの日があるんだ」

「マジで」

 あたしがたまに「マジで」って言うから、真似してる。似合ってないんだけど。

「近くの砂浜でやるよ。去年もやったんだよー。昼間バーベキューと海水浴。夜は花火して。最高に楽しいんだから」

「あ、そっか水着買ったんだった」

 あたしも買ったの忘れてたけど。そうだよ、この為に用意したんじゃん。

「晴れると良いな」

「そうだね。楽しみだなー」

 楽しい夏の思い出を作ろう。今年の夏はこの1度だけなんだから。いまこのあたし達で迎える夏。17歳のあたしと、19歳の楓。19歳の楓の夏が、忘れられない思い出になりますように。

「あれ?」

「どうした」

 あたしは、分からないことだらけの中から浮かび上がった、楓を構成する事柄のひとつを思い浮かべた。

「楓、誕生日いつなの?」

 それくらいは知っておきたい。だって楓、今年10代最後の夏じゃないか。

「8月31日」

「え? 今月なの?」

 すぐじゃないのよ! なんでそれ早く言わないの。

「そっかー10代最後の夏だね。バーベキュー、楓の誕生日のお祝いもしよう!」



 コンコン。

「あおばー」

「……!」

 健太郎の声だ。「なななに?」と噛みながら返事をする。楓にはスマホに戻すよと合図して、シーっと人差し指を立て、画面をタップした。