インストール・ハニー


「……楓?」

 なんで、どうして居るんだろう。
 帰ったんじゃないの? もう、あたしのことも……。

「なん……て」

 楓だった。楓は、あたしにゆっくり歩いて近付いて来て、優しく笑った。

「なんで居るの? 忘れたんじゃな……」

 最後まで言えないのは涙が出て吐きそうになったからで、聞きたいことはいっぱいある。
 なんなの。どこまでわけの分からない人なのよ。いい加減にしてよ。
 
「いて、痛いって」

 あたしは、声にならないから楓の胸をバンバン殴った。(もちろんグーで)

「青葉の部屋で読んだマンガ本、まだ続き読みたいしな。帰ってきたよ」

「マンガ本で戻ってきたの!」

「うそうそ! 怒るなって」

 グーの手首を掴まれ、引き寄せられる。マジで? ここ歩道だけど。