「……楓」
あたしは、タオルケットをかぶった。だって、家の中で誰かが起きているかもしれないから。大声を出すわけにはいかないから。
「……ひっ……かえでぇーー!!」
立ち上がれなくなっても良い、呼吸が止まっても良いくらいの全力で、楓の名前を叫んだ。
机の引き出しには、バイトが終わってから夏休みの課題をやらずに作った、バングルが入っていた。シルバーとターコイズを使って、楓の為に作った、誕生日プレゼント。内緒で作ったプレゼント。
渡せなかった。楓の喜ぶ顔が見たかったな。いくら名前を叫んでも、もう戻って来ないと分かっていても。声が枯れるまで大声で泣いたんだ。
たくさんたくさん、楓の名前を叫んだんだ。
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