インストール・ハニー


「青葉……」

 頭の上から、楓の声。

「俺のこと、忘れないで欲しい。俺は忘れちゃうけど……勝手だな」

 小さな声だけど、確かな声。

「残酷だって分かってる。でも、俺を覚えていて。そして前を向いて、歩いていって」

「楓……」

「君は、とても魅力的で、素敵な女の子なんだから」

 もう少し近くに、この体温を感じていたい。あたしはこれ以上寄れないくらいに楓の胸元に顔を埋めた。

「君は、大丈夫だ。ひとりじゃないよ。家族や一海や友達が居るよ。みんな繋がってる」

 あなたの笑顔を見るたびに、細胞全部が、あなたを好きだって言っていたよ。

「俺も、繋がってる。青葉の記憶を消されても。どこかで生きてる」

「楓……忘れないよ。あなたがあたしを忘れても」

 あたしは、両手で楓の頬を包み、唇を近づけた。もう、これが最後の。

「……ありがとう、大好き」