楽しくても悲しくても、朝はやってくるんだ。祝福の朝も、泥水みたいな気分の朝も。
数時間して、カーテンを開けていた窓から日差しが入り込んで来る。夜が明けたんだ。今日もまた厳しい暑さになるんだろう。
泣きながら、あたし達は、ひとつのベッドで抱き合って眠った。眠ったといっても、横になっていただけで、本当に眠っていたわけではなかった。眠ってしまったら、顔が見えなくなるから。呼吸も聞こえなくなるから。
雀の鳴き声。透き通った朝の光。外はもうきっと暑いだろう。こんなに明るい朝なのに、胸に去来するのは重苦しい悲しみ。その重さに押し潰されそうだよ。
泣きじゃくるあたしを、楓は一晩中、慰めてくれていた。ただ、抱きしめて。頬を撫で名前を呼んで、キスをして。
楓も泣いていたけれど。
楓は、人知れず現れて、人知れず消えていく。



