もう、どうしたら良いのか、分からなかった。
なにに抗えば自分の思う通りの道を作れるのか、思いつかなかった。楓を帰したくない、無くしたくない。そればかりが体を巡る。
「だめだ」
言葉にならないあたしの声を、楓は遮る。パジャマの上を脱ぎ捨てた時、手を掴まれる。
「俺は……そういうこと……」
もう、これしか、あたしには思いつかない。全てを楓に与えたかった。
脱いでも尚、暑いこの部屋。いま、頭の中が混乱してるからかもしれない。かいた汗を拭う時間すら惜しい。
「だめなんだ。それは……許されていないんだ。俺はできない」
静かな、静かな。熱い夜。取り残された2人。涙は、楓を見つめる目から、あとからあとから流れ出る。あたしも、楓も。
「なん……で」
上半身裸のまま、あたしの手は震えが止まらない。楓はまた、優しく抱きしめてくる。小さい乳房が、楓の胸に当たっているのが分かる。楓の鼓動と重なりたい。わけの分からない管理システムなんか、クソ食らえ。
心も体も結ばれるという、夢見る恋人たちは、温かな腕と息遣いでもって、愛を感じて確かめる。それすら許されないあたし達。そばに居ることも許されない。
あたしは、神さまを恨んだ。



