インストール・ハニー

「なんで! あたしはどうなるの、1人にする気なの? ゲームだから?」

 言ってることが正しいとは思わないけど、楓を無くしたくなくて、思いつく限りの言葉を吐く。
 スマホを掴んで、ベッドに投げる。壊したい。でも壊したら楓が帰れない。戻れない。それで良いのに、壊せないよ。なんなの。あたしなんでスマホにしたの。なんでこんなの持ってるの。

「傷なんか、癒えてないよ」

 言い終わるか終わらないかのうちに、楓に抱きしめられた。強く、強く。あたしも楓の背中に爪を立てる。このまま肉を裂いてめり込ませ、逃げられないようにしたい。

「あたしのそばに居るって言ったじゃない!」

「俺は、青葉が好き。好きになって、止められない」

 息が苦しい。骨が鳴いているようだ。それくらい強い、楓の抱擁。
「……壊れてしまうよ」

 短く、呼吸をする。なんでこんなシステムを作った。誰が求めた。どうしてこんなゲームを作ったの。癒されて、また無くすの? そうしたらその傷は誰が治してくれるの?

「青葉も一緒に、壊してしまう……」

「いいよ、壊してよ」

「青葉、好きだ」

 あたしは、楓の頬に手を伸ばし、自分から唇を付けた。そして、自分のパジャマの前のボタンを素早く外しにかかる。

「……青葉!」

「楓を、どうすれば……ここに……」