インストール・ハニー

 ゲームだから、ネタバレはしないのが鉄則。それを、楓は教えてくれたのだ。だからあたしが、いつまでも告白しなければ……。

 ラストステージへの道は分かるけど、行きたくない。だって、終わってしまうんだもの。

「それじゃ、俺が元に戻れなくて、ただのガラクタになってしまう」

 エンディングなんか、見たくない。ガラクタだって良い。熱帯夜は、扇風機の風も温めている。

「青葉は、俺が嫌いなの?」

 あたしは、首を横に振る。思い切り。

「じゃあ……言って」

 また、横に振る。

 いま、言わないといけないの。いま、こんな風になってから。いま、あなたが居なくなる前に。言ったら、居なくなるのに。

 楓が好き。楓に恋をしていることを、はっきりと自覚した。分かってたけど。

 ゲームの中の王子様。あたしだけの、儚い王子様。いま、無くしたくない。好きだから一緒に居たいって、強く思う。

 ……幸せな時間は短いですが……。あの言葉の意味。

「やだよ……。あたし、まだだめだよ。楓が居がなくちゃ」

 楓の、服を掴む。引っ張る。