インストール・ハニー

「そうじゃない。初仕事だって言ったろ? だからなんていうの、こういうの」

「初恋……でしょうか」

「そ、それ」

 胸が痛いよ。初恋のジンクスを思い出す。

「知ってる? 初恋は実らないってジンクスあるんだよ……」

 へへっと笑ってみせた。なにが可笑しいのか分からない。
 窓の外に見える夜は深いけど、同時に朝に向かっている。止めたい。この手で止められるなら、楓を返さなくて良いならば、あたしはきっと人を刺したりもできる。

 目の前にある、その泣き顔。楓のことを思うと胸が爆発しそう。

「楓って強い人なんだと思ってた。なんでこんなに弱いのに、そんな……人を癒す王子様とかやってんの、転職した方が良いよ」

「青葉が強くなるなら、それで良かった」

 あたしの肩に両手をかけて、下を向いてしまった。楓の告白はとても悲しくて、先の見えないもの。好きだって言ってくれた言葉は、あたしの中に留まって、感情をめちゃくちゃにかき回す。
 あたしだって、楓を無くしたくないのに。

「あたし、告白しなきゃいいんでしょ? そうすれば、楓はこのまま居るでしょ?」

「……」

「告白しないよー。言わなくてもいいじゃん」