今年の新入生は諦めが早く、4月の第三週にはもう早坂美琴は落とせないという暗黙の了解ができあがっていた。

もちろん、在校生の中にも未だに声をかけるチャンスを窺っている者もいるが、それも、まるで番犬のように美琴の傍にいる大和の存在のおかげで二の足を踏んでいる状態が続いている。

大学内どころか、日本中どこでだって女を選び放題だと思われる大和が、美琴を他の男から守るためにいる忠実な犬状態。
そんな状態に大和自身は別に何の問題も感じておらず、美琴に至っては大和が自分の傍にいるのは友達としてと信じて疑っていない。

恐ろしく鈍い姫と、そんな姫と同じ時間を過ごせればそれで幸せを感じられるほど姫を想う忠実な番犬。しかも血統書つき
そんな関係のまま一年十ヶ月が過ぎた頃……つまり今から二ヶ月前だった。

大和が美琴に告白をしたのは。

今まで大和と自分の間にあるのは友情だと思い込んでいた美琴は困惑したのだが、断ったら大和を傷つける気がして、ごめんなさいとは言えなかった。
それまで自分によくしてきてくれた事は身を持って分かっていたし、大和がとても優しい人だと言う事も一緒に過ごした時間の中で知っていた美琴は、大和を傷つけたくないと思った。

それに……素直に、純粋に、大和の気持ちを嬉しいと感じていた。