恋する季節 *- confession of love -*



「俺、視野狭いから。基本的に……その、美琴にさえ愛想つかされなければ、他のヤツらにどれだけ悪く思われても気にならないし」

チラチラと見ながら言う大和に、美琴の顔がだんだんと熱を帯びていく。
恥ずかしくなって俯いた美琴が、隣に立つ大和の服の裾にそっと手を伸ばすと、それに気づいた大和の肩が小さく跳ねた。

「愛想なんて、つかさないから……」
「……そう?」
「うん……」

上から落ちてくる大和の声に、美琴が頷いてから……ギュっと目を閉じた。

美琴には、一ヶ月前からどうしても大和に伝えなくてはいけない言葉があった。
何度も口にしようとしたけれど、その度に邪魔が入ったり、勇気不足だったりで結局伝えられていない言葉が。

だけど、今だったら……。この雰囲気だったら言えるかもしれない。
そう思い、「あのね、大和……っ」と決意を決めて思いきり顔を上げた瞬間……。
ゴッ……と音と共に美琴の頭に響く衝撃的な痛み。

「痛……っ?」
「ごめん……っ、大丈夫か?!」

思わず頭を押さえてしゃがみ込んだ美琴を追うように、大和もすぐにしゃがむと、美琴の顔を覗き込むようにしてもう一度大丈夫かと聞く。
心配という文字が顔中に書いてあるような大和に、美琴も涙ぐんだ視線を合わせる。