「……自分の小指に? 自分で?」
不器用には定評のある美琴は、片手で自分の指に糸を結ぶという行為が可能とは思えないらしく、何度も彩乃に聞き返す。
「そう。なんか恋人同士だとね、一本の赤い糸をお互い結び合って楽しんだりしてるみたいだけどね」
「そうなんだ……」
「もちろん、美琴は黒崎と乗らなきゃダメよ」
彩乃の言葉に、美琴は頬をうっすらと赤くして「う、うん……」と頷く。
美琴が大和を好きだと彩乃に打ち明けたのは、大和への気持ちに気づいた翌日。
そこで彩乃に焚き付けられた事もあり、美琴の気持ちは日々大きくなる一方で……それなのにそこから一ヶ月その気持ちを伝えられずにいる。
本来だったらそんなもじもじしている状況をただ見守っているのは、彩乃としても不本意で、イライラしてしまうところなのだが。
相手が美琴となれば話も違う。
あの、男が苦手で自分の後ろに隠れるようにしてしか接する事にできなかった美琴が、大和の告白を受け、しかも好きになりそれを伝えようと頑張っているのだから。
美琴の心の中まで入り込んだ大和の頑張りはもちろんあるにしても、美琴が頑張っている事も知っていたから、彩乃も美琴を急かしたりはしなかった。



