執着度は異常かもしれないが、大和が美琴を誰よりも大切にしているのは紛れもない事実で、それは彩乃も呆れるほど。
美琴も彼氏という事を受け入れたのだから、キスくらいまでなら無理強いしても問題なさそうなのに、大和はそれどころか手を握るのもたまにしかできないらしく。

もうこのふたりは永遠にこんな感じでいるのも逆におもしろいとも考えたが、なんだかんだ言って友達思いの彩乃。
そんないじらしい大和と、告白しようと意気込む美琴の手助けが何かできないものかと考える。

せめて、もう少しふたりの距離を縮められるようなイベントを計画して、美琴に告白しやすい舞台を用意する事はできないかと。

来週からは夏休みが始まるし、今までみたいに毎日会えるわけではなくなるわけで。
大和の事だから美琴を誘ったりはするだろうけれど、それ以外に何かこっちでも計画できないか……と考えていた彩乃が、そういえばとある事を思い出す。

それは、家族からもらった遊園地の半額券。
しかもその遊園地の観覧車には、恋愛がらみのジンクスがあるって話を聞いた事がある。
ジンクスや縁結びにまったくもって興味のない彩乃は家族からの話を聞き流していたのだが、このふたりにならジンクスの類もホップステップのステップあたりにはなってくれるかもしれないと思ったのだ。

これを使うほかない。
そう考えた彩乃は、依然として気まずい雰囲気のまま固まっている美琴と大和に、夏休みの予定を聞くのであった。