「黒崎、美琴に自分を名前で呼ばせる事で美琴は自分のものだって周りを威嚇してるんでしょ。
あいつの美琴に対する粘着度尋常じゃないから。
まぁでも、大学内に収まらない人気の持ち主にそこまで気に入られるとか、もうドラマよねー。
しかも玉の輿だし」

あーあ羨ましい、とからかうように言う彩乃に、さっきから大和の想いを尋常じゃないだとか病的だとか粘着だとか……もう少しまともな表現はできないのかと、美琴が苦笑いをもらす。

彩乃が玉の輿と言った理由は、当然ながら大和の家柄にある。
大和の家は、代々高級ホテルを経営しているらしく、早い話が御曹司というわけで。
黒崎大和はすべてに置いて恵まれていると言っても過言ではないのかもしれない。
……彩乃いわく、美琴に対する粘着度以外は。

「外見家柄パーフェクトなのに一途っていうのがまた乙女心をくすぐるよね。
まぁちょっと度合がひどいけど。黒崎の場合、一生片思いでもそれ楽しめそうで怖いよね。
美琴の部屋にカメラとか仕込んでそれ見て過ごせればそれで幸せそうだし。
ほら、ストーカー気質じゃない?」
「……さっきから大和の事さりげなく……っていうか、普通にバカにしてるよね?」