「自分で渡せばいいのに、こんな簡単なこと俺に頼んで」 理人が、翔平の部屋側の壁にチラッと目線をやる。 ……そうだよね。 改めて思い知らされた。 こんな簡単なことすら、困難に変えちゃうようなことをあたしは言ったんだ…って。 「…あたしが悪いの」 「美桜が?どうして?」 「あたしがヘンなこと言ったから」 「何言ったんだよ」 「取り返しのつかないこと」 「どんな?」 「翔平に好きって言った」 「………」