恋結び ~キミのいる世界に生まれて~


ゾクリとするような背後からの声に、鞄に手を伸ばしたままの姿勢であたしの体は停止した。



それは。


聞き間違えるはずのない、翔平の声。



……追いかけてきたの……?


彩乃ちゃんも一緒?




怖くて振り向けないでいると、


「何の真似だって聞いてんだけど」


腕を掴まれて、あたしの体は反転した。


「…っ」


そこにいたのは翔平一人。


「俺と本宮の何を嗅ぎまわってんだよ」


酌量の余地のない真剣な瞳で、ジッとあたしを捉える。


その瞳に耐えられなくて、あたしは床に目を落とした。