――その時。 突如、大きな風が吹いた。 「あっ…」 と思ったときにはもう遅く、ギィィ…と錆びついた音を立てたドアは、あたしの手をすり抜けていった。 扉は大きく開かれ、まるでスローモーションのように広がる目の前の景色。 その音に2人が気づかないわけもなく、翔平が振り返る。 全開になった扉は、あたしの姿をさらけ出した。 「………っ、」 ダダダッ…… その瞬間、あたしは身を翻して咄嗟に駆け出していた。