自分の足がガクガクと震えているのが分かる。 彼女になった瞬間を知って、キスまで目撃するなんてそんな残酷なことはない。 なのに。 足が地面に張り付いたように固まって一歩も動けない。 ただ呆然と立ち尽くすだけ。 やだ… やだよ…… ……やめてよっ… 心の叫びなんて届くわけなくて、そうしている間にも2人の距離は縮まっていく。 屈んだ翔平に応えるように彩乃ちゃんが背伸びをして。 ………っ…… 動いたはずみで夕日が2人を直射し、その姿は光に包まれた。