彩乃ちゃんが向かったのは屋上だった。
こんな時間に屋上だなんて、よっぽど人目につきたくないに決まってる。
―――きっと、告白の返事。
彩乃ちゃんが開閉した屋上の扉は、ほんの少し開かれたままだった。
そこに指を乗せると反動でゆっくり扉が開いた。
「あっ……」
夕日に照らされ赤く染まる屋上には、2つのシルエット。
彩乃ちゃんと向かい合うように立っているのは……
………翔平。
「返事……聞かせてくれるんだよね……?」
何かをこらえるように放つ声は、思わずあたしまで泣き出してしまいそうに震えていた。
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