「…それでも……
あたしのお母さんは……水沢の母なんです……」
母は、もうあたしを取り戻したいなんて言わないのは分かっていた。
昨日の光景を見ていたら、自然と思った。
きっと素敵な旦那さんに巡り合って、素敵な娘が出来て、母は今とても幸せだと思う。
だから、口にしたんだ。
「…ええ……分かっています……」
一文字一文字を噛みしめるように母は言った。
育ててくれたお母さんへの義理でもなく、改めて心の底から思ったんだ。
葵ちゃんにとって、母がただ一人のお母さんのように。
あたしのお母さんは、お母さん……ただ一人なの。



