電車に乗って……この街が、あたしの前から景色となって流れていく―… 空港まではあっという間で、誰も葵ちゃんの話に触れることもないまま着いてしまった。 だけど。 空港のロビーに入った瞬間、あたしの足が止まった。 「…美桜?」 理人が振り返る。 「あたしっ……」 『後悔するな』 背中を押してくれた翔平の文字。 今ならまだ間に合う。 このまま帰ったら、あたしはきっと後悔する―― 「あたしっ…行きたい所があるっ……」