"兄妹だよ…"


そう言おうとした口は、翔平の人差し指で遮られた。


その先端、もう修復に向かっている傷口はさっきよりも褐色を帯びていた。


「俺達は兄妹だけど……もともと血は繋がってない」


「だけどっ…」


薄い闇の中で、翔平の瞳があたしを真っ直ぐとらえる。


「将来的に……俺は水沢の戸籍から外れようと思ってる」


「戸籍…から……?」


そんなこと、考えもしなかった。


結婚…なんてことも。


「願わなきゃ……叶わない……だろ…」


「……っ…」


全身を痺れで貫くほどの言葉は、あっという間に瞳の中を涙でいっぱいにした。