女の子に興味がなさそうな翔平に彼女が出来たのは中2の夏。 仲良く肩を並べて下校していた後ろ姿を、あたしは今でも忘れてない。 確か、じゃなくてハッキリ名前も憶えてる。 その時感じた胸の痛みも。 「…理人には理人の……事情があるんだよ」 逃れるように話を元に戻した翔平だったけど、それはどこか躊躇いを含んでいた。 「……なんの…事情よ…」 「男の事情だよ。美桜は知らないくていい」 「……」