そんなの言われても……困る。 言わないで、欲しい…… その名前を聞いちゃったら、もう、水沢美桜に戻れない気がして… 「あたしは…水沢美桜です……」 「……そう……よね…ごめんなさいっ――」 口元を手で覆った彼女の顔は…… ……見ないようにした。 「失礼……します」 そして今度こそ、彼女の前から立ち去った。