――ガチャン! 「行って来まーす!」 激しく開いたドアから、中学生くらいの女の子が出てきた。 ポニーテールにセーラー服姿で、塾の鞄を肩から掛けている。 この家の……娘……? すると後を追うようにもう一度開いた扉から、一人の女性が出てきた。 派手でもなく、そうかと言って地味でもない。 30代後半くらいの、普通のサラリーマン家庭の主婦なんだろうと思う、何処にでも居るような感じの人。 慌てているのか、サンダルの音をばたつかせながらさっき出て行った少女を追いかけて行った。