「この辺りですね」 運転手さんがそう言ったのは、以外にも閑静な住宅街だった。 「じゃあここでお願いします」 家の前まで行かず、適当なところで降ろしてもらう。 緊張で震える足をゆっくり進め、似たような建物が並ぶ住宅の表札を一つ一つ確認していく。 目的の家は、いとも簡単に見つかった。 「翔平……」 "難波" 母親と同じ名前の表札を見つけ、ここだと確信する。 「ああ、そうだな」 翔平もそれを確認した時――