家に帰ると、リビングのソファに放り投げられた鞄を見つけた。 その主を探していると、キッチンから菓子パンを手にした翔平が現れた。 「早いね。部活は?」 「休み」 「そっか」 「で、理人は?マジで具合悪いの?」 理人の部屋がある南東の角を見上げた翔平に、あたしは思いっきり首を振った。 「…なわけないでしょ。女の子とサボり」 「は?理人のヤツ、もう彼女出来たのか?」 翔平は知らなかったようで、驚きの声をあげてからパンの包みをビリッと破いた。