……違う。 あたしはこの傷が出来た瞬間も、 その理由も知ってる……っ…。 行き場のない憤りと悔しさを、拳に込めたこと…… 「顔色悪いぞ?」 「……」 「動くのツライなら、ここにメシ持ってくるか?」 「……ほしくない」 子供のように言ったあたしに、翔平は苦笑いする。 「明日理人退院だろ。美桜が具合悪いと理人もガッカリするから、早く寝て直せよ」 そう言って優しく頭を撫でた。