なのに彩乃ちゃんはあたしに向かってパタパタと走ってきたから更に驚いた。
「水沢さんて、翔平くんと理人くんと三つ子なんでしょ?」
翔平に迫っていた勢いでそのまま来られ、あたしは戸惑う。
「う、うん……」
ほのかに漂う甘い香りが、あたしにはない女子力を見せつけられている気がした。
ニッコリ笑って彩乃ちゃんは言う。
「あたし、バスケ部のマネージャーになったの。よろしくね」
"よろしく"というのは、あたしが翔平の妹だからで。
「う、うん……よろしく…」
兄がお世話になるなら、あたしだってそう返さなくちゃいけない。



