「でも、一生懸命頑張るね」
彩乃ちゃんは甲斐甲斐しくそう言うと、ここからでも分かるほど瞳をウルウルさせ始めた。
「そこにグッとくるのは理人の方!」
翔平について知り尽くしている莉子はさもおかしそうにパチンと手を叩いた。
それには思わずうなずいてしまった。
確かに翔平には逆効果。
涙に弱い理人とは違って、翔平は女の子がすぐ泣くのを面倒くさいと思っているから。
――とその時。
軽くシカトされまくっていた彩乃ちゃんと不意に目が合った。
「……っ」
まさかこっちに振られるとは思わなくて、慌てて目を逸らす。



