「あのね、ぜんっぜんわかんなくてさ。それ終わったらでいいから教えてくれないかな?」 出来るだけ明るく言う。 中央にあるローデスクに教科書を置いて、ペタンと床に腰を下ろした。 「いいよ。あと2、3分待ってもらえる?」 そう言って、少し体を斜め後ろに向かせる翔平。 「もちろん」 …よかったぁ。 翔平も特別意識してる様子はない。 30分も悩んだことがバカみたいに思えて笑えて来たとき 「じゃあリビングで待ってて」 ……えっ…