「こっ、これはねっ…」


今の莉子に、理人の顔にも同じ傷があるなんて言えないし。


「ちょっと、不良に絡まれたらしいの……」


顔を逸らした翔平を気遣いながらも、それっぽい理由をつけた。


「不良に……?」


まず不良と接点なんてなさそうな翔平。


我ながら下手な嘘。


「ふぅん……」


到底信じた様子には見えなかったけど、それ以上何も突っ込んでくることなく、莉子はカップに口をつけた。


嘘だって、見抜かれちゃったかな……。