家族を一番想っていたのは、いつだって理人だった。 その想いを全て無駄にしてしまうような今回のこと。 そどうして理人がこんなめに遭わなきゃいけないの……? やり場のない怒りと悲しみで体の震えが止まらない……。 静かなロビーに、キュッキュッと擦れるような足音が響いた。 「美桜」 呼ばれて顔をあげると、紙コップに入った飲み物を二つ差し出している翔平がいた。 「美桜、昨日から一睡もしてないだろ?それ飲んだら莉子と一緒に帰って休め」 …自分だって一睡もしてないのに。