「あ…」 おぼろげに思い出した。 意味もなく、莉子が真面目な顔してあたしと翔平に謝ってきたことがあったのを。 何のことだから分からなくてぽかんとしたあたしに、理人が「これでおしまい!」と言って、それっきりだった。 理人……。 理人はどれだけ……。 いじらしいほどの家族への愛に、何もかも壊したくなる衝動に駆られた。 ――どうしてっ……