明け方の病院の廊下を、緊迫した様子で早歩きする。 走りたい衝動の中、それでも目にする現実が怖くて……。 ――ガラッ。 開いた扉の向こう、目に飛び込んできたのは―― 「ああっ…!!!」 倒れそうになったお母さんを翔平が支えた。 それは、口に酸素マスクを当てられ、顔と頭部を包帯でぐるぐる巻きにされた ――理人の姿。 鳴ったのは、警察からの電話だった。