「きゃあっ!!」 殴り合いの喧嘩を見るのは初めてで、怯える胸は叫ぶ声を抑えられなかった。 それでも 「翔平…っ…やめて……」 理人は今、自分を失ってる。 翔平が素で行けば、理人はそれに乗るだけ。 「お願いっ……」 「美桜…?」 理人を擁護するあたしに目を丸くする翔平を見ないようにしながら、その腕を抑えた。 虚勢を張っていた固い腕が、だんだんと力を失っていく。 「美桜を守るために莉子に彼女のふりしてもらって、そんで美桜を泣かしてたら世話無いな」