あんなことがあった後に、そんな笑顔をあたしへ向けられることへの理解に苦しむ。
翔平の水分を請け負ったそのタオルはさっきよりも重みを増していて。
その水分に馴染ませるように、こらえきれなくなった涙を押さえた。
「今日も帰ってこないつもりかしら……」
窓の外を心配そうに見つめながら言うお母さんのセリフは、もう日課になっていた。
こんな雨の夜。
理人の居所を心配しているんだと思う。
「あんな勝手な奴の心配なんかしなくていい。まったく、毎晩毎晩どこで何をやってるんだか」
そう言うお父さんの言葉の端々にも、なんとも煮え切らない理人への想いが汲み取られた。



