建物の屋根からほんの少しだけ競り出た雨除け。 雨から逃れるようにそこへ身を押しやる2人の距離に隙間なんてない。 壁を背にする莉子を雨から守るように立つ翔平の背中には、雨が強く吹き付け素肌が透けている。 莉子の頬が濡れているように見えるのは、雨なのか、それとも…… 「あっ……」 思わず声を漏らしてしまったのは。 その頬に翔平の手が伸びて、親指で拭ったから。 それは雨なんかじゃない。 莉子の目から零れ落ちる……涙だ。