理人。 どうしちゃったの……? ちゃんと、口で言ってくれないとわからないよ。 その時、理人のものだと思われる残り香があたしの鼻をフワッと掠めた。 脳にインプットされた匂いに特別違和感は感じないけど、理人がいつもつけている香水とは別の物だ。 誰がつけてたっけ…… 思い出そうとしても、意識が散漫な今、辿った記憶は途切れてしまった。 彩乃ちゃんが完全に白旗を上げたのは、それからすぐのことだった。