家とは反対方向に行く素振りを見せた理人に、思わず手にしていたおつりの小銭をポケットに突っ込んだ。
「父ちゃん達がいないなんて、そうないだろ?たまには羽伸ばそっかな~なんて」
「不良~。明日も学校なんだからあんまり遅くならないでよ?」
笑いながら理人の胸をチョンと押すと、もっととんでもない言葉が返って来た。
「おっと、今日は帰らないから」
「え?どこに泊まるの?」
笑いごとじゃなくて、真顔で聞き返すと、
「美桜ちゃん、そーゆー野暮なことは聞かないの」
理人はニヤニヤしながらチッチッと人差し指を横に振った。



